Purple Madder

ライトノベル系小説家志望(ワナビ)の進捗日誌

読了記録

創作術本:
創作の極意と掟
筒井 康隆

創作術本として購入したのだが、実際には(著者自身が最初に書いているように)エッセイだった。
その内容の玉石如何を別にすれば、ツイッターなどで様々な立場の人(ワナビ含む)が展開する「創作論」と同種のもの。
あと著者はエンタメより文学を志向して記述していて、そういう意味で自分にはあまり役に立たなかったかも。
一方で、色々な先行作品が紹介されているのはけっこう参考になった。

創作の極意と掟 (講談社文庫)

創作の極意と掟 (講談社文庫)


小説:
そして花嫁は恋を知る(緑の森を拓く姫)
小田菜摘

タイトル通り、政略結婚から始まる恋愛もののシリーズ(ヒロイン・ヒーローは変わるので各巻は単独で読める)。
今回はヒーローが政略結婚相手じゃないからどういう展開になるかと思えば、顔を合わせる前に結婚相手が病死し(暗殺され)て異母弟(庶子)なヒーローが新しい相手になるかならないかドタバタという。
半ばくらいまでは大きな出来事もなく漫然とした運びの印象があったが、最初の結婚相手が死んでからはどんどんイベントやどんでん返しがあって面白かった。
視点人物の感情の描き方と他の人物の感情を読者に伝える書き方について勉強になった気がする。


その他本:
だれが「本」を殺すのか
佐野眞一

書籍業界の様々な分野、書店・流通・版元・編集者・図書館・書評・電子出版についてインタビューなどを中心に書かれたもの。
元々は2001年に出た本なので書かれている内容はかなり古く、特に電子出版の章は「当時はこう考えられてたんだねえ」という感じ。
でもインタビューで語られてる内容はかなり面白かった。
一方で(著者がこの本を「ルポルタージュ」と呼んでいるにも関わらず、)図書館・書評・電子出版の各章は著者の主義主張が中心と言ってもいいほど前面に出ていて、しかもそれは自分の考えと違っていたため、首を傾げながら読んでいた。


小説:
吉原手引草
松井今朝子

全文が登場人物の台詞という珍しい形体で、花魁の葛城に関する騒動を調べようと若い男が吉原の関係者に話を聞いていく二人称小説だった。
吉原は初めてという体裁の若い男に関係者たちがいろいろ教えるのから始まるが、騒動自体の詳細はなかなか語られないので読者は想像力を働かせないといけない。
ある種のミステリとも言えるかも。
この形式で長編を成立させるのはすごいなぁ。

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)